SymbioFarm by Bflap

閉鎖循環方式の陸上養殖と水耕栽培を組み合わせたアクアポニックスに関心を持っています。

日本の水産業においては、漁業による生産高が数十年にわたって横ばいどころか右肩下がりの推移を続けています。
担い手不足による操業規模の縮小がありながら、水産資源の減少も深刻で、多くの魚種で漁獲の制限を要する状況ですし、密漁も巧妙化、悪質化し、予算、人員に限りのある取締体制では、抑止効果は限定的です。
一方、世界に目を向けますと、ここ50年ほどで中国の養殖業が急速に拡大し、中国一国だけでも世界の漁業をはるかに上回る生産高になっていますし、他の国々でも養殖業は急伸しています。
日本国内でも、ウナギは古くから養殖されながらも、種苗は天然のものが採捕されて使用されており、その他の魚種でもタイ、ブリ(ハマチ)、フグ、カキなどは、養殖の割合が高まっているものの、依然天然魚指向が強い状況にありましたが、近年ではヒラメ、エビ、サーモンなどの養殖が拡大傾向にあるようです。

しかし、少し前に注目を集めたマグロの陸上養殖は、撤退組も出始めている状況のようで、その要因は、漁獲制限を受けての資源量の回復による魚価の低下に伴う採算の悪化にあると考えられます。
マグロは、エラを動かして酸素を取り込む機能を持たず、常に泳いでいないと酸欠になってしまいますので、運動量が極端に多く、増肉係数が低い(摂食した餌が体重増ではなく、運動のエネルギーに使用される割合が高い)ため、魚体の大きさもあって、大規模な養殖施設で低効率にならざるを得ませんから、魚価が高くないと採算を維持できません。
天然資源の状況から、養殖へのシフトは、世界が取り組むべき課題になっていますが、増肉係数をはじめとした効率の問題があり、あらゆる魚種で採算が成立するわけではないのが現状です。

養殖の拡大のキーとなる採算については、魚価の上昇、技術による効率の向上、補助政策によるコストの低下などでの改善と共に、養殖施設での養殖以外の収益の確立による改善が考えられます。
その有力候補として私が注目するのが、植物の水耕栽培との組み合わせ、いわゆるアクアポニックスです。
閉鎖循環方式で養殖を行った場合、魚の排泄により飼育水の窒素化合物濃度が高まり、魚自身の育成に支障を生じさせますが、この窒素化合物は植物にとっての肥料(代表的な栄養分のN:窒素、P:リン、K:カリウムの1つ)でもあるため、飼育水から植物に吸収させることで、植物にとっては肥料になり、養殖魚にとっては適切な水質が保たれる環境を構築することができます。
もちろん、そう簡単に最適なバランスが維持されるわけではないですが、非常に高いポテンシャルを秘めた技術だと思います。
一般的にはアクアポニックスと呼ばれていますが、事業としては、SymbioFarm事業と位置付け、取り組んでいきます。

また、SymbioFarmを事業として成り立たせるためには、水産業と農業の両方のサプライチェーンの成立が必要となり、いずれについても販路は比較的確保しやすそうに思われますが、陸上養殖についても、水耕栽培についても、既存の漁業や農業から異質なものとみなされることで、調達については、困難があるのではないかと思います。

このような障壁を乗り越えて、秘めたポテンシャルを発揮できるようになるのか、チャレンジしてみたいと考えています。